2015年9月22日火曜日

型紙に魂入ります。

鞄が出来上がるのに、まずはデザインがあります。
ラフスケッチから、自らすぐに型紙製作に入ります。
完成を想像しながら、寸法をとりながら作り方を考える。
素材も知りつくしてないと、これは出来る、出来ないと片寄ってしまう。
 
型紙は、作り手によってだいぶ違う。
袋物、外縫いの縫い代から、素材選び、
マシンの性能、 手縫い、厚み、補強、強度、
作り方の順番まで全部違う、 一点ものと量産用とも違う。



下請け全盛期の頃、デザイナーと職人さんの間を
何度も何度も何度も行き来していました。

職人さん「ミシンでこんな所、縫えねえーヨ」
「工賃合わねーヨ」
「なんだ、この図面はヨー」

デザインナーさん「向上心がないネ」
「企業努力が足りないネ」
「他社は、この値段ですョ」

職人さんは、家であぐらかいて
”合う仕事もってこい”

デザイナーさんはもっと技術を高めて
”安くしてくろ”

伝言ゲームじゃないんだから、
いい加減にしろっつーの、やってられるかこの野郎ーーー!
 何百回、何千回、そう思ったか、今日こそちゃぶ台を
ひっくり返してやるーー


しかもいいものなんかできるわけない。
 当時は本音も言えず、ネガティブな日々、
でもこれが仕事だと思い込んでいました。

でもこういった、何十年のやりとりで、
いろいろ不自然な御用聞きになんの進歩もないのが
心の底からイヤになり、散々悩んだ結果
 だったら自分でやるしかないと決心した、
約11年前。。。 




下請け業務が終わってから、夜な夜な特訓、
だれも教えてくれませんから。
現場で見てきたものを、思い出して、見様見真似したり、
現物や生産用の型紙を分解してみたり。
作っては失敗の連続。

でも一人認めていただけて、また一人と増えてくると
だんだん楽しくなってきました。


「ははぁー、ここは、こうやったほうがかっこいいな」
「なるほど、大変だけど、こうしたほうが、丈夫だ」
「この造りは、なかなか真似できないぞ」
「おー面倒くさい、やれるもんならやってみろ」
とか、いつもたくらんでました。

全行程自分でできるようになると快感です。
だんだん面白くなってくるんです。
もっとやらかしてやるって思っちゃう。


ここが厚いとか段差があるから縫えないとか、
材料が高いだとか、取り都合だとか、
どうのこうのっていうのは、ユーザーには関係ない。
企業の都合だそんなの。


フルオーダーの打ち合わせは、お客様とのヒアリングから
そのイメージをスケッチします。お絵かきですね。
そのお絵かきをもとに、パターンを切り始めます。

そのお客さんだけのモノを制作させていただける、
夢の世界のお手伝い。。

型紙の制作時間は、パーツの少ないものから複雑なものと
いろいろありますが、スムーズで1日前後、
ハードルの高いものは、その2倍、3倍ってところです。

革、芯、裏地など枚数にして約20枚から100枚近くのもあります。




フルオーダーでボディーバッグを旦那様にプレゼントしたいと
美人奥様のご要望。
 以前フルオーダーで作った形を参考にお見せしたら、
気にいってもらえて、
身頃を2㎝アップしたいとのご要望、と細かな修正も加えて
そして全ての型紙を切りなおし。
 時間かかっても喜んでもらえると思ったら、萌えてしまいます・・・





 イメージは堅牢な革で、ガッチリとしたコバ仕上げの外縫いのリュック。
A-4ファイルぴったりのご要望でしたが、プロトタイプを作ったらぴったり過ぎた。
両脇3㎜ずつ、下に5㎜サイズアップに修正することにしました。
それにともない、全ての型紙を切り直し。

迷いも無く、寸法、デザインが決まっていました。
あとは、頼むよって感じでとても嬉しかった。
ショルダーベルトの長さ、内装ポケットも確認。
 素材はブッテーロを使う。



29㎝と小ぶりなビジネス鞄
以前セミオーダービジネス鞄を作らせていただいたお客様は今度は父にもプレゼントしたいと。
お父様も拘りのサイズがあるらしく、プロトタイプでもえらく喜んでもらえた。
自分としても、手縫いの上下床盛り上げの持ち手を提供しスキルアップを望む。
細かい箇所を確認して、本番に備えます。




続いて、、、④
大きいトートバッグにショルダーベルトが付いているフルオーダー。
ある有名ブランドが似たようなデザインを出したいたのを、雑誌でみた
N氏は「オレのが先に考えていたのに畜生---」と興奮して来られました。
そんなのより、カッコイイの作る自信ありますって。

彼は迷彩柄のプリントの革を持ち込んてきました。
基本ケミカル系はあまり好ましくありませんが、
かなりクオリティーもナチュラル。
イタリア製というのもあり、理解して使用することに決めた。
付属はうちの推薦するプエブロ/ナポリとツートン。 


マチの切り替えし部分は、波のうねりをイメージ。
右と左の高さもちがうので、何度も間違えてしまいました。









以前ワークショップに来てくれた美人OLが、
彼にクリスマスプレゼントにと4月からオーダーをお受けしました。

HIS-FACTORY初期からある現行のトートバッグは、
身頃の上部分、下のハカマ部分も胴体とのコントラストによるデザイン性と
補強の意味もありました。

それを取ってもっとシンプルにしたいとのご要望。
軽量化もあるし、さらにシンプルというのは、いいと思いお受けしています。




  ”型紙”は、魂だと思っています。
自分が作りたいものとお客さんの要望に応える世界に一つの合作。

品揃え店舗とは違う、工房が作りだすオーダーメイドです。

伝言ゲームのような無機質な生産ライン向けの型紙は、もうとらない。
















2015年9月18日金曜日

新型キーケース

新型のキーケースが職人さんの元から
上がってきました。

 札入れ、小銭入れがついたキーケース


多機能っていうのは、
なんかテレビショッピングや通販雑誌の大量生産のイメージがあって
なんかイヤだなぁと思っていました。
こういうのを石頭っていいます。

長財布はバッグの中に入っている。
自分はカジュアルなバッグだから、まだいいものの、
ビジネス鞄しか持っていない人が、近くにちょっと買い物行く時、
どうするんだろう・・・

 何人かのお客さんにリクエストがあったのもあるし、
ちょっと頭を柔らかくして、作ってしまいました。

調子に乗ったボクは、 こういうちょっとした小物を考えるのが
面白くなってしまいました。
次はキーケースにカードが入るのを考えようと思います。

今回は、5色ご用意いたしました。
プエブロ/ナポリ



プエブロ/ペトローリオ



 ミネルバボックス/R.アンティコ


 プエブロ/タバコ


 ミネルバボックス/クロ

各5本ずつ生産しました。
2Fのショップでは、もちろんですが、
近日中にこちらのショッピングカートにアップいたします。

 http://his-factory.com/onlineshop





2015年9月15日火曜日

さようなら2015夏 浴衣から着流しへ 

大好きな浴衣の着れる夏の時期も、とうとう終わりが近づいてきてしまいました・・・ 

4年前ファンキーな着付けお針子職人さんと出会ってから世界が変わってしまいました。
浴衣を着ることにより、和服スタイル、日本スタイルについて敏感になりました。

まだまだ初心者ですが・・・

自分の体形ぴったり、コレ大事、採寸してもらい、つまりオーダーメイド。 
サイコーです。 

オーダーメイドって高いってイメージありますけど、
職人と直接取引できる下町では、それほどではありません。

都会の半額、いや三分の一くらいではないでしょうか、
途中のお店のマージンが無いのですから当然です。
しかもグレードの高い反物がたくさん選べます。
いろいろ生のアドバイスも聞けます、作り手、職人と直ですから。


池波正太郎の鬼平犯科帳でみた江戸下町の裏路地や
”隅田川”いえ”大川”沿いあたりを下駄を鳴らして歩いてる時、
密かになりきっています。。。 

墨田、台東、東京下町の友達はみんな浴衣や着物を
アレンジしたり個性的に着こなしています。ほんとにカッコイイ。

みなさんに教えてもらいながら浴衣、着物をわずかながらも勉強しつつ
何かとこじつけて、着ようと心がけています。


江戸から学ぶ、日本の美についても日々こつこつ勉強しています。


それは、とりあえずおいておいて・・・

「頼むから、踏まないでよ・・・」 意外とウサはこういうとき意思の相通が合う・・・

浴衣をたたんでいます。


稲妻、雲、海のデザイン、超お気に入り。

吉原つなぎ 

人のご縁も繋がるという説もあるが、
きっと吉原に入ったらもう「・・・・」というのが有力でしょうけど。

麻も入っててナチュラル感もある。無地ながらも帯の帽子でコーディネイトを楽しむ。

こういう風に干して、20分くらいでしょうか、
ちょっと生渇きの状態で取りこんで、
さっとたたんで、たたみます。

この折りたたむ瞬間が大好きなのです・・・
気が引き締まるというか。 

アロハは”なになに?”って寄ってきます。



頼むから踏まないでよ!

「なにが?」尻尾はフリフリ♪
ウサは、遠くで様子を見ている。

「・・・・・」

「あっ・・・」
まだアロハとは意思の疎通ができたてないようだ・・・



あーーー切ない。。。

意思の疎通じゃなくて、季節が変わることが・・・



たたんでる時、振り返ってしまいます、今年の夏、浴衣・・・














2015 さようなら夏


そして秋は、着流しも着こなせるようになりたく、
服だけでなくてですね、
背筋も伸ばして、上を向いて。
 

日本人として生まれ、日本人らしい生活を。
誇りをもっと持ちたくて・・・

東京江戸スタイルは、粋とは何か、
2020年のオリンピックを迎えるだけではなく、
生き様を考える今日この頃です。


これからのライフスタイルとは・・・



先週、着流し用の綿素材の”久留米かすり”に出会ってしまいました。。。。

来月中旬が楽しみです。
 





2015年9月13日日曜日

セミオーダー ビジネスタイプ鞄 Lサイズ

ビジネスタイプの鞄

セミオーダーで2型同時に制作いたしました。

まずは

ブッテーロのパーツの下仕事

補強テープを入れて金具に当たる裏側にも
吟付き(表面の革)を張り合わせます。

もともと3㎜厚の革で、まず切れることは
ないと思いますが、
さらに補強のためです。

金具の中に補強テープ

 裏側にも吟付きを貼る。


 コバ磨き


ミネルバボックス/プルーニャ



 ブッテーロ パーツ革と本体の縫製
#0糸 12㎜厚





内装カスタム

 最後のグロランテープ巻 仕上げ






ミネルバボックス/プルーニャ&ブッテーロ/ワインとアカ












続いて、
ミネルバボックス/オルテンシア&BUTTERO/ワイン、アカ